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 第95話 女王の宣告

Author: marimo
last update publish date: 2026-08-18 20:45:00

「あなたって、本当に勝手な人ね。あなたには、あの彼女が居るじゃないの。あの彼女のために、私を家政婦代わりに使っていたんでしょ? やり直すのなら、あの、相沢玲奈さんじゃないのかしら」

 声は静かだった。

 まくしたてることも、感情を荒げることもない。ただ事実を並べるだけの声音が、かえって冷酷に響く。抑揚すらほとんどないその言葉は、刃物のように研ぎ澄まされ、俊哉の胸にまっすぐ突き刺さった。

 周囲の空気がさらに冷える。見物人たちは息を潜め、誰一人として物音を立てようとしない。遠くで走っていた車の音さえ、別世界のもののように感じられた。

 俊哉は、ひかるの手に自分の手を重ね、両手で握ると、言った。

「違う!玲奈なんて好きじゃないんだ。俺が好きだったのは、ひかる、お前だけだ!」

 必死だった。指先に力が入りすぎて白くなる。関節がきしむほど強く握りしめている。まるでこの手を離した瞬間、すべてが終わると知っているかのように。額から汗が伝い落ち、頬を濡らす。呼吸は荒く、体は絶えず震えていた。

 だが——ひかるの顔は、驚くほど落ち着いていた。

 ひかるはクスっと笑い、俊哉の手から、自分の手をスッと引
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